ファブリック・デザイナー、山本真紀さん
8月生まれの山本真紀さんは、まさに真夏の太陽にまっすぐ向かうひまわりのようなひと。元気で明るくてポジティブなエネルギーに満ちている、というのが第一印象。
でも実は、「ひとの4倍は努力してます」なんてサラりと言ってのける真の努力家の一面も。
ニューヨークに来てアートと仕事の接点を見つけたという真紀さんに直撃インタビュー!
ファブリック・デザイナーとはあまり聞き慣れない職業だが、実際にはどんなことをされているのだろうか・・・ |
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「基本的にはフリーランスでやっているのですが、最近はABC
Carpet & Home(*1)で売られているオリジナル・ブランドのデザイナーと月極めで契約しているので、主にそちらの仕事をしていることが多いです。そのブランドは、クラッチバッグやジャケット、1点もののクッションなどを出していて、どれもファブリック、布で作ったものです。わたしの仕事は、デザイナーから商品のデザイン案を受け取り、それをもとに布や材料を揃え、実際にサンプルを作成することです。簡単に言えば紙の上のデザイン案(時には口で説明されるだけの時もありますが・・)を形にするのが私の仕事だと言えます。ABC以外では、フリーランスでイベント会場やお店のデコレーションを手掛けています。最近では、チェルシーのMetropolitan
Pavilionで行われた"Taste of the Nation New York"というチャリティーイベントの内装責任者として、広大なロフトスペースを1500ヤードもの布で飾り付けたり、ユニオンスクエアの近くにあるMavi
Jeans(*2)のフラッグシップストアの店内に、巨大な虫のぬいぐるみを天井から吊すといったデコレーションを手掛けました。どれも布を使った表現です」 |
| なるほど、布を使っていろんなものをデザインするのがファブリック・デザイナーなのである。そう説明していただいてすっかり納得させられたものの、あまり前例のない職業には変わりない。真紀さんはいったいどのようにしてファブリック・デザイナーの道を歩むことになったのだろうか。 |
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「もともと日本では文化服装学院のアパレル・デザイン科に通っていたので、その頃から布が好きだったとは思うのですが、学校では基本的に洋服作りの勉強をしていました。でも途中で洋服はあまり自分には向いてない気がしてきて。洋服って立体だしフォルムが重要ですごく難しいんです。なんだか表現に制約が多すぎると感じたんですね。それで立体ではなく平面のほうに気持ちが向くようになって、絵を描いてみたり、布でアート作品を作ってみたりするようになりました。ニューヨークへ留学しようと決めたときに、洋服ではなくアートの学校へ行こうと思ったのもそうした理由からだと思います。ニューヨークへ来てからは、National
Academy(*3)でアートのクラスを受けながら、しばらくギャラリーでアルバイトしたりしていました。ですのでその頃は、“自分をアーティストと呼ばないまでも、作品を作ってそれで食べていければいいな”、なんて考えていたのですが、世の中そんなに甘くないですよね」
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| アート、音楽、ダンス、写真など表現方法はそれぞれ違っても、ニューヨークに勉強しにきたり、活躍の場所を求めてやってくる人の多くが一度は直面するのが、「やりたいこと」と「お金になること」のギャップではないだろうか。それは自分のアートと仕事とのバランスであり、妥協とは認めたくないものの、理想を追求しすぎれば現実の生活がなりたたないのも事実である。生活が苦しくても自分のやりたいことをまっとうする人もいれば、自分のアートは捨ててコマーシャルにはしる人もいる。真紀さんがそのちょうどいいバランスを見つけたきっかけは・・ |
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ABCの店内を飾った布アート
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「それまでギャラリーで働きながら、絵を描いたり、布の作品を作ったりといろいろと制作活動をしていたのですが、そんなに作品なんて売れるものでもないですし、アート作品の制作だけでは生活していけないと実感して、少しお金になるものを探そうと思ったんです。それで考えたあげく、ウィンドウ・ディスプレイの仕事なら、学校で勉強した洋服の知識もあるし、ディスプレイの中で自分の作品を利用することもできるのでは、という結論に達しました。考えがまとまったら早速ニューヨークの有名デパートなどあちこちに売り込みを始めました。といっても、ウィンドウ・ディスプレイの経験があるわけではないですし、そんなにすぐに反応があるとはまったく思っていなかったのですが、奇跡的にもABC
Carpet & Homeのビジュアル・ディレクターに気に入ってもらえて、その年のクリスマス・シーズンのウィンドウ・ディスプレイと店内の飾り付けにわたしの作品を使ってもらえることになりました。そのディスプレイの仕事で彼と意見交換しているときに、ハイファッションかつ芸術的な“ファブリック・アート”を作ったらおもしろいんじゃないか、とアドバイスされてジーンときてしまいました。これがまさに、わたしにとってのアートと仕事との接点だったのです」 |
| アートと仕事の接点としてファブリック・デザイナーの道を選んでからというもの、布アートに限りない可能性を見出した真紀さん。デコレーション用の作品もたくさん作っているほか、アート作品の制作も続け、展覧会で何度も入賞したこともあるそうだ。 |
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「これからはデコレーション用としてはもちろんのこと、アートとしても売り込んでいこうと思っています。例えばよくブティック・ホテルのロビーやお部屋にコンテンポラリー・アーティストの絵が掛かっていたりしますよね。その絵の代わりに布で作った絵画的な作品を飾ってもいいと思うんです。そういう意味では、アート作品としてこだわるのではなく、アートの代わりにもなるデザイン作品ぐらいのスタンスでいいと思っています。でもアートとして鑑賞できるぐらい質の高い作品を作っていくのが目標ですね。それに商業スペースだけじゃなくて、個人のかたにもぜひ布アートを楽しんでもらえればと思っています。カーテンとして使ってもらってもいいですし、タペストリーのように壁に掛けてもらってもいいです。楽しみかたはひとそれぞれ自由でいいのではないでしょうか。作品を楽しんでいただくのが一番ですので・・。ただしひとつひとつ手作りの1点ものなので、お財布と相談していただいて、ということになりますが・・」 |
| 今でもABCのビジュアル・ディレクターの人に出会ったことを感謝しない日はないという真紀さん。その後もABCで仕事をしたことをきっかけにいろんな人に出会い、その人たちからまた別の人たちを紹介してもらったりと、常に人のつながりに助けられているのだとか。 |
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「人のつながりって大切ですよね。きっかけは単純であっても、その人と出会ったことによって道が開けてくることがたくさんありました。ニューヨークに来てすぐの頃に、学校へ行きながら57ストリートにあるギャラリーで働き始めたのですが、そこのオーナーからビザをスポンサーしてもらえることになり、アメリカで自由に仕事をすることができるようになったんです。そこのギャラリーで働きはじめたのも、ほんとにちょっとしたきっかけからでした。日本からアーティストの友達が来ていたときに、一緒にギャラリーめぐりをしていて、偶然入ったそのギャラリーにおいてあった絵が気に入り、その場で直接オーナーに働かせてもらえないかとお願いしたんです。まずそうしてそのギャラリーのオーナーと出会うことができ、ビザの件がクリアして次のステップへと進むことができました。そして今度はビザのあるおかげでいろんなところへ売り込むことができるようになり、ABCのビジュアル・ディレクターと知り合うことになって、ファブリック・アーティストの道が開け、といった具合です」 |
| 真紀さんが道を切り開くきっかけを与えてくれたさまざまな人たちと出会うことができたのは、たんなる偶然の賜物ではなく、真紀さんの積極的な行動力とポジティブな志向が周りの人たちを引き寄せているからに違いない。だからこそ「Godd
EnergyはGood Peopleを呼ぶ」という真紀さんのこの言葉は、こうした経験から実感した素直な気持ちなのだ。では真紀さんなら、これからニューヨークで活動したいと考えている日本の人たちにどんなメッセージを送るのだろうか。 |
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「ニューヨークでアメリカ人と対等に仕事をしようと思うのなら、普通の何倍も努力すうる必要がありますね。わたしの場合は、まず外国人であること、アジア人であること、女であること、英語がネイティブでないことなんかを考慮に入れ、ひとの4倍は努力しないといけないと思ってやっています。それで初めて対等になれると思うからです。ニューヨークに行けばなんとかなるということは絶対にありません。実際に来てから苦労してる人もたくさん見ていますし、実行に移す前によく考えることが大切だと伝えたいです。でもニューヨークは努力した分はちゃんと返ってくる場所ですから、努力のしがいはありますね」 |
真紀さんからお知らせ:
10月30日に開かれるハロウぃーン・パーティのデコレーションを手掛けるのですが、27日(水曜日)にそのお手伝いをしてくれるボランティアの方を募集しています。ファブリック・デザインやデコレーションに興味のあるかたは勉強になると思いますので、ぜひご連絡ください。
お問い合せは、真紀(august27maki@hotmail.com)まで。
よろしくお願いします。 |
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NYのこと質問!
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NYに来たきっかけは?
「日本にいたころNYから帰ってきた友達に、『真紀はNYが絶対に気に入るから一度行ってこい』と言われて。それでとりあえず3ヶ月間ESL留学してみることに。そしたら案の定気に入り、一度帰国して今度はアートの学校へ通うことにしました。英語の学校は本当につまらなかったので(笑)」
NYで活動していて感じたこと
「NYで活動していて感じることは、日本人のオーガナイズ力はすごい!ということにつきますね。いろんな場面でそう感じることが多々あります。例えばスーパーのレジなんかでもそうですし、仕事の場面でもアメリカ人のひとで、もう少しオーガナイズできないのかなって思う人がたくさんいすぎて。そういう場面に出くわすたびに、日本人がナチュラルに身につけているオーガナイズ力は偉大だと実感してしまいますね」
NYでお気に入りの場所!
「食べるのが好きなので、お気に入りの場所というとすぐにレストランが思い浮かんじゃうのですが。レストランだと、トライベッカにある“Franklin
Station Cafe”(*5)が一押し。ここはマレーシア料理のお店でヌードル、特にシーフードラクサが絶品なんです。あと、ダウンタウンのハドソン側沿いにあるハドソンリバーパーク(*6)が好きです。いろんな人がローラーブレードやジョギングをしていたり、ただぶらぶら歩いていたり自由な感じがしますね。川のある風景も気に入っている理由かもしれません」
真紀さんにとってNYとは?
「仕事の場所です。自分がここで仕事をするんだと決めた場所だと思ってます」 |
(*1)
ABC Carpet & Home
888 Broadway (19 St)
212-473-3000
www.abchome.com |
(*2)
Mavi Jeans
832 Broadway (12 & 13 St)
www.mavi.com |
(*3)
National Academy School of Fine Arts
5 East 89th Street
(Fifth and Madison Ave)
New York, NY 10128
212-996-1908
www.nationalacademy.org |
(*4)
Williamsburg Art & Historical Center (WAHC)
:135 Broadway (Bedford St)
Williamsburg Brooklyn
718-486-7372
www.wahcenter.org |
(*5)
Franklin Station Cafe
222 W Broadway
New York, NY 10013
(At Franklin Street)
212-274-8525
Hours: 8AM-11PM
www.franklinstationcafe.com |
(*6)
Hudson River Park
Hudson River between Chambers Street and W 59th Street
www.hudsonriverpark.org |
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